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PAPER INFO

Title Multi-omics approach reveals post-transcriptionally regulated genes are essential for human pluripotent stem cells

Authors Iwasaki M,Kawahara Y,Okubo C,Yamakawa T,Nakamura M,Tabata T,Nishi Y,Narita M,Ohta A,Saito H,Yamamoto T,Nakagawa M,Yamanaka S,Takahashi K
内容
遺伝子の発現量を議論するときに、mRNAの量なのか、Proteinの量なのか、という視点を持つことは重要です。なぜなら、mRNAとProteinの量は必ずしも相関しているわけではないからです。そして、mRNA量とProtein量が相関していない遺伝子群が細胞ごとにどのくらいあるのか、それらの遺伝子は細胞にとって重要なのか、という点に関してはこれまで明らかにされていませんでした。本研究では、iPS細胞やES細胞といった多能性幹細胞でそのような相関しない遺伝子群が多いこと、さらにそれらの遺伝子は細胞の生存に必須であることを明らかにしました。細胞種類ごとのProtein量の制御機構にはまだまだ謎が多く、今後はそれらの謎を解いていきたいと考えています。
感想
これまで質量分析計を用いたタンパク質解析をやってきて、もどかしく感じていた点が二点ありました。一つ目は、遺伝子発現量はRNAである程度測れるから、Protein量を測る必要性は特にない、と考えている研究者が多いこと。二つ目は、mRNA量とProtein量が相関しない遺伝子があるという事実はよく認識されているものの、それらの重要性を議論した知見はあまりないということです。本論文で、それらの点に一石を投じれたかなと思います。
タンパク量を精度よく測る、という点が一番大変で実験的にも解析的にも試行錯誤を繰り返しました。その中で2019年に定量解析論文を一本書けましたし、研究をまとめるうえで様々な研究者と関わることができて、生涯忘れられない論文となりました。4/1に講師&独立PIに昇進し、Revise締め切りが4/1で夕方に提出し、桜を見に知恩院へ行って帰ってきたら原則Acceptされていたので、エイプリルフールかなと怯えました。
PAPER INFO

Title Removal of interference MS/MS spectra for accurate quantification in isobaric tag-based proteomics

Authors Iwasaki M, Tabata T, Kawahara Y, Ishihama Y, Nakagawa M
Journal Journal of proteome research, April, 2019
内容
iTRAQやTMTといった比較定量用のラベル化手法は特に近年多く用いられていますが、定量精度が低いという問題があります。定量精度が低くなる原因は、複数のペプチドイオン由来のラベル体ピークを定量に用いてしまうことです。いくつかの解決法はありますが、ここではRiMS法(Removal of interference MS/MS spectra)という手法を提案し、Perl言語で書いたスクリプトを公開しました。Purity>80%とRiMSを組み合わせると、同定数の減少を抑えて定量精度が上がるので、現在は組み合わせた手法で解析を行っています。
感想
岩崎が初めてコレスポ(責任著者)として執筆した論文です。2019/01/30にsubmit, 04/30にacceptという切れのいい数字も気に入っています。レビュアーのコメントに対応した結果、論文はより良いものになりました。レビュアーの方々に感謝するとともに、自分もこういうコメントができるように成長したいなと思います。また、研究所の後輩が、論文が出たお祝いで一緒に(ちょっといい)ご飯を食べに行ってくれました。彼女たちが学位をとる時には、京都のかなりいいところで祝いたおしたいと思います。
PAPER INFO

Title Chemical cleavage-assisted tryptic digestion for membrane proteome analysis.

Authors Iwasaki M, Masuda T, Tomita M, Ishihama Y
Journal Journal of proteome research, June, 2009
内容
大腸菌などの原核生物が持つタンパク質配列はシステインを多く含んでいます。しかし、システイン残基を切断する消化酵素は存在していません。ここでは、化学的にシステイン残基を切断する反応を最適化した結果、大腸菌のタンパク質同定効率を向上することができました。
感想
岩崎が修士1年生の時に初めて出した論文です。石濱先生の指導の下、論文としてまとめるのはかなり大変なんだなと思いました。まずは序章で読み込まないといけない論文の数に唖然としました。そして、リバイス実験が(その当時の自分にとっては)かなりきつく、山形県鶴岡市の寒い冬の中、1か月間ほぼラボで生活していました。ちょうどリバイス実験終盤の午前3時頃に自転車で帰っていたら、車で追いかけられて怖い思いをしたため、「真夜中に帰ったりしない」と固く心に誓いました。
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